wm size
端末を変えるディスプレイの解像度を報告します。上書きすれば、端末は別の画面のふりをします。
- コマンド
- adb shell wm size
- コマンド
- 画面と取り込み
- リスク
- 端末を変える
構文
wm size [<width>x<height> | reset]フラグと引数
| トークン | 意味 |
|---|---|
| <width>x<height> | 自分の解像度の代わりに、この解像度を報告するようディスプレイに頼みます。 |
| reset | 上書きを外して物理解像度に戻します。 |
使用例
wm size報告のみ。引数なしは変更なしです。
wm size 1080x23401080p の端末のふりをします。
wm size reset取り消し。必要になる前に覚えてください。
出力の読み方
出力例
Physical size: 1440x3120
Override size: 1080x23401 行、または 2 行です。Override の行は「上書きが存在するときだけ」印字され、そこがすべての要点です。その存在が端末がふりをしている合図で、その値こそがレイアウトが実際に見るサイズです。Physical の行は変わりません。
出力フィールド
| フィールド | 意味 |
|---|---|
| Physical size | パネルの実際の値。 |
| Override size | 代わりに報告されている値。上書きが設定されている間だけ現れます。 |
必要な権限
root も `adb root` も不要ですが、上書きの裏には本物のプラットフォーム権限があります。`wm` は `cmd window "$@"` を実行する 1 行のシェルスクリプト(AOSP の `cmds/wm/wm.sh`)で、上書きが通る 2 つの window manager 呼び出し `setForcedDisplaySize` と `clearForcedDisplaySize` には `@EnforcePermission(android.Manifest.permission.WRITE_SECURE_SETTINGS)` が付いています。`shell` ユーザーの正体である `com.android.shell` は自身のマニフェストで `android.permission.WRITE_SECURE_SETTINGS` を与えられているので、認可済みのケーブル 1 本で足り、USB デバッグ以外に開発者向けオプションの関門もありません。報告のほうは無料です。引数なしの `wm size` は読むだけなので、何かを設定する前に実行して記録しておくべきコマンドはこれです。罠は権限ではなく配管に 2 つあります。パーサは小文字の `x` を `indexOf` で探し、各辺に `px` と `dp` の接尾辞を許します。だから `411dpx731dp` は density-independent な形を頼む正当な書き方である一方、`1080pxx2340px` はそうではありません。分割に使われるのは最初の `px` の中の `x` だからです。そして 2 行のサイズは標準出力へ、`Error:` はすべて標準エラーへ行くので、標準出力しか残さないスクリプトは、実際には拒否が起きた場所で空の答えを見ることになります。
エラーメッセージの読み解き
| メッセージ | 意味 |
|---|---|
| Error: bad size 1080X2340 | 引数に小文字の `x` がなかったか、いちばん端にありました。`runDisplaySize` は window manager を呼ぶ前に断るので、何も変わっていません。大文字の `X`、`*`、ロケールの乗算記号はすべてここに来ますし、変数が途中で切れた `1080x` も同じです。 |
| Error: bad number | 例外自身の `toString()` が末尾に付くので、行全体が読めなかったトークンを名指しします。任意の `px` / `dp` 接尾辞を外した後で、片方の辺が整数ではありませんでした。この仲間で意外なのが `1080pxx2340px` で、分割が最初の `px` の内側に落ち、`1080p` を数値として解析させます。何も変わっていません。 |
| Remote exception: | 報告の経路が window manager に届かず、サイズの代わりにこれと例外を標準出力に印字しました。この site のパーサが数値ではなく「不明」を返すのはこれが理由です。`Physical size:` の行でないものを解像度に変えてはならず、0x0 は考え得る最悪の推測です。 |
| Exception occurred while executing 'size': | shell command のハンドラが `Throwable` を捕まえ、次の行がそれを名指しします。ここでの `java.lang.SecurityException` は呼び出し側に `WRITE_SECURE_SETTINGS` がないという意味で、素のビルドの `adb shell` からは起きないはずのことです。引数が悪いのではなく改造されたビルドだと考えてください。上書きは適用されていません。 |
| cmd: Can't find service: window | `wm.sh` は `cmd window` の薄い包みでしかないので、`cmd` が `window` サービスを見つけられませんでした。起動途中、`system_server` がそれを公開する前なら想定内です。何も読まれず、何も設定されていません。 |
何が変わるか、そして戻る道
上書きは再起動をまたいで残り、しかも「すべて」が描かれるサイズを変えます。取り消すために開くはずの設定アプリも含めてです。値を間違えると操作部が画面の外に出て、端末から端末を直せなくなります。`wm size reset` で戻り、しかもこの上書きをここから設定したかどうかに関係なく効きます。何かを設定する前に、そのコマンドを見えるところに置いてください。
バージョンとメーカーに関する注意
- 同時に density も設定してください。レイアウトのブレークポイントは密度非依存ピクセル(ピクセル × 160 ÷ dpi)に反応するので、解像度だけを変えると実在しない形の端末を試すことになります。
- 失敗が有益に報告されることはありません。拒否はサイズではなくリモート例外の行として返るので、サイズでないものは 0x0 ではなく「不明」として扱ってください。
これには UI があります
Android ADB Toolbox はこのコマンドを USB 経由で実行し、返ってきたものを解析します。Chromium 系ブラウザだけで、SDK も不要、どこにもアップロードしません。
関連コマンド
wm size と同じ作業で出てくるコマンド。
| コマンド | 何をするか |
|---|---|
| wm density | ディスプレイの密度を報告、または上書きします。レイアウトのブレークポイントを実際に動かすのはこちらです。 |
| screencap | スクリーンショットを撮ります。端末上のファイルに書くか、PNG として標準出力に流します。 |
| getevent | カーネルから生の入力イベントを流し読みします。各入力デバイスが何を報告できるかの一覧も取れます。 |
他の画面と取り込みコマンド
| コマンド | 何をするか |
|---|---|
| screenrecord | 端末上の MP4 ファイルに画面を録画します。 |
Web ADB ツール群のパーサを書きながら、AOSP・toybox・カーネルのソースに突き合わせて確認しています。バージョンやメーカーで本当に挙動が変わるところは、世界の半分の端末で間違いになる数値を出す代わりに、そう書いてあります。